レッドブル75本、モンスター42本で心肺停止の可能性。カフェイン中毒による日本の緊急搬送と死亡事例
朝日新聞デジタルの記事で、カフェイン中毒による心肺停止、死亡、緊急搬送などの集計結果の記事がかなりインパクトがあったので、実際に日本で起きたカフェイン中毒による事故について記事を残しておこうと思います。
著者:エナジー・ドリン君
2001年頃、在米時にダンスシーンを通じてエナジードリンクに出会い感動。 帰国後日本ではネタ飲料扱いだったエナジードリンクの本当の魅力を伝えるために2013年総合サイトを開設。 エナジードリンクマニアとして改めてエナジードリンクを真剣に飲み始め、各国で狩りをして飲み集めたコレクションは世界7,000種類以上。 メディア取材を受ける評論家や専門家としても活動中。
カフェイン中毒で搬送された人数は年々増加
今回の記事では38の医療施設から集計した結果を元に、カフェイン中毒で搬送された人数が年々増加していることがわかっています。
- 2011年・・・10人
- 2012年・・・5人
- 2013年・・・24人
- 2014年・・・25人
- 2015年・・・37人
101人中97人が眠気防止薬を使用していたとのことです。患者の年齢の中央値は25歳で、18歳以下は16人もいたそうです。
エナジードリンクが原因のカフェイン中毒は101人中4人
今回の集計人数101人のうち、7人が心肺停止に陥り、何と3名が死亡したとのこと。そして心肺停止した人は、カフェインを6g摂取していたということがわかっています。
エナジードリンクだけによるカフェイン中毒は4人でした。今回の集計結果からは『エナジードリンクだけ』を飲んで心肺停止や死亡した人がいるのかどうかは不明です。そして後述しますが、心肺停止した今回の例で摂取したとされるカフェイン6g分をエナジードリンクで摂取するのは常識的に考えると不可能です。
急性症状がでるカフェイン1gを含む商品
カフェイン摂取による急性症状は成人の場合1gで出ると言われています。急性症状が出るというだけで死亡するカフェイン量ではありません。
ではそのカフェイン1gはカフェイン錠剤、カフェインドリンクをどれくらい摂取すると達してしまうのか、という朝日新聞のグラフも面白いので見てみてください。
朝日新聞デジタルより
レッドブルよりもコーヒーのほうがカフェイン量が多いことは周知のことと思いますが、なぜかエナジードリンクはカフェインが大量に入っていると勘違いされるんですよね。
カフェイン6g摂取で心肺停止した人
朝日新聞の記事で驚いたのは、心肺停止した人はカフェインを6g以上摂取していたということ。これはエナジードリンクやコーヒーなどの飲料系ではなかなか摂取できないカフェイン量で、カフェイン錠剤を多量摂取したのだろうと容易に想像できます。
ちなみに心肺停止した事例の6g=6,000mgのカフェインを摂取しようとすると、
- レッドブル250ml・・・75本(80mg/1本)
- モンスター355ml・・・42本(142mg/1本)
- トメルミン・・・36錠(167mg/1錠)
- エスタロンモカ錠・・・60錠(100mg/1錠)
これだけ摂取しないと到達できません。エナジードリンクだと6g摂取はかなり厳しい量です。カフェイン錠剤もあわせて載せました。36~60錠・・・。これは眠気覚ましで飲むとは考えられない量ですね。明らかに意図的に大量摂取したと考えるのが自然でしょう。ちなみにこの半分のカフェイン3gでも普通では考えられない常識を超えたカフェイン量です。エナジードリンクでもまず到達しない量。
関連記事
カフェイン錠剤は本当に危険
・長野県 自殺目的の20-30代の3名が緊急搬送(2014年)
・兵庫県 睡眠障害の50代男性、20代女性が死亡(年不明、ここ最近)
朝日新聞によるとこれらのいずれも眠気防止薬を大量摂取したことによる事故とのことです。今回の朝日新聞の記事で初めて知りました。2015年に国内初の死亡事故として大々的に取り上げられたカフェインによる死亡事故がありましたが、それ以外にもたくさん事故が起きているんですね。
今回の朝日新聞の記事によるとこの2015年の事故をきっかけに日本中毒学会が調査を開始したとのことです。あの事故は連日ニュースで取り上げられていましたもんね。
過去にカフェインが原因で死亡した例があるかもしれない
朝日新聞記事中の兵庫医科大、西尾元・主任教授によると、
カフェイン中毒による死亡は臓器に異常が見られないため血液検査をしてみないとわからない。過去に解剖しても原因不明だった死亡事故が実はカフェイン中毒が原因だった可能性もあるかもしれない
とのこと。
最近のエナジードリンクの人気によって、カフェイン中毒の危険性などを煽るPV稼ぎ記事が多く出ていることもあり世間の感心が高まっているため日本中毒学会が調査を開始したものの、それ以前、エナジードリンクが流行る以前からカフェイン錠剤などの多量摂取による死亡事故が起きていた可能性は十分に考えられるらしいのです。
エナジードリンクがカフェイン中毒事故を増やしている可能性も指摘
国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・薬物依存研究部長は
エナジードリンクでカフェインの効果に出合い、より効率的に強い効果を求めて眠気防止薬を手にしているのではないか
と指摘しています。
カフェイン中毒による搬送事例増加の多くにエナジードリンクが関連しているとはさすがに思いませんが、しかしこれは的を得ていると思います。
実際は国産のメガシャキとか眠眠打破、強強打破等その辺もエナジードリンク以前からカフェインによる眠気覚まし効果の体感を助長している部分はあったと思いますが、カジュアルな形でカフェイン摂取の効果を体感できる機会を増やしたと思われるエナジードリンクの影響は大きいはずです。
重篤なカフェイン中毒だけでなく特に軽度な急性カフェイン中毒による事故と関連ニュースはエナジードリンクの浸透によって今後も増えると思っているので、日頃からエナジードリンクをよく飲む人たちも気をつけたほうが良いと思います。
年齢、体質、体格、体調、日々のエナジードリンク以外のカフェイン含有食品の摂取等々、カフェイン中毒にはいろいろな要因があるので、エナジードリンク2、3本くらいなら大丈夫と安易に考えないほうがよいでしょう。
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