【マニア解説】日本のモンスターエナジーの歴史と全種類
日本では2012年5月8日からアサヒ飲料による独占販売がスタートし現在に至ります。モンスターエナジージャパンが販売していると思っている方も多そうですが、実際にはアサヒ飲料の中の1販売ブランドという位置づけです。
日本でのモンスターエナジーの販売はアメリカでブランドが生まれて10年後という節目でもありました。アサヒ飲料の強力なパワーとモンスターエナジージャパンによるプロモーション等によって日本でもレッドブルに次ぐ第二位のシェアを獲得、遂には日本トップブランドにまで上り詰め、2大勢力の1ブランドとして君臨し続けています。
これはロックスターがほぼ何もできないまま撤退したことを考えるととても大きな成功と言えるでしょう。
日本初上陸のモンスターエナジーの歴史
アメリカから輸入され日本で発売されたのがオリジナル、カオス、そしてアブゼロです。言葉の通り『日本上陸』ということになります。後に「生産国アメリカ」から「国産」へ変わる面白い状況からスタートしたのが日本のモンスターエナジーの始まりです。
オリジナル、カオスが日本に上陸
まず2012年5月8日、最初に発売されたのがモンスターエナジーオリジナルとカオスのふたつ。当時はまだアメリカで日本独自のエナジーブレンドを配合したものが輸入されて入ってきていました。カオスは果汁50%と高果汁で飲みごたえ抜群でしたが好き嫌いが分かれるようなフレーバーでしたね。
発売当初、オリジナルとカオスで年間100万ケースを売上目標としていたようです。
アメリカとデザイン違いのアブゼロが新発売
続いて2013年5月7日に発売されたのがアブソリュートリーゼロ、通称アブゼロです。アブゼロが追加されるようになって一気にエナジードリンクらしさを感じられるようになったとも言えます。今まではたった2種類しかなかったわけですから。エナジードリンクのメジャーブランドとしては様々なフレーバー展開ができることが理想でしょう。
この時点で日本上陸当初目標だった100万ケース/年販売がアブゼロが加わり240万ケース/年を目標とするなど、1年の間に倍以上の売上目標となっていて、エナジードリンクブームが一気に高まった時期と重なります。
ちなみに実績としては2013年で237万ケースを販売したとのこと。目標には及ばなかったようですが、それでも200円の高額炭酸飲料がこれだけ売れたのは明らかにエナジードリンクブームの波に完全に乗れた結果でしょう。この数字を見てか、他社もどんどん参入してきますがすべて何もできず勝手に消えていく状況でした。
2014年も日本独自路線に舵を切り始めたモンスターエナジージャパン
アブゼロから1年後、M3を発売
2014年7月1日、アブゼロ発売から1年後にはグラスボトルのM3が発売となりました。M3はアメリカと日本だけの発売です。少量でオリジナルとほぼ同等のエナジーブレンドを摂取できるというのが強みですが、モンスターエナジー愛飲者の多くが大容量だからモンスターを選ぶ、というスタンスが顕著であり、また価格も200円ほどと355mlの缶と同額なので人気が出ないのでは?と予想されていました。
現在ではラベルデザインを変更し発売当初の旧デザインがまたちょっプルで処分されるなど厳しい状況に見えます。一部ではごく少量でカフェインほかのエナジーブレンドを摂取できるということでスポーツの前などに飲む常飲者も一定数いますが、商品の継続販売ができるレベルで売れているかというと厳しそうです。新ラベルに関してもちょっプルで引き続き処分が続いています。
コーヒーモンスターが日本中で話題に
2014年10月7日、突如としてコーヒーフレーバーのモンスターエナジー、コーヒーモンスターが発売されることがわかりました。当時ドリン君はLAにいたのですが、瞬時にニュースを更新し前代未聞のSNS拡散が起こりました。それ以外のコピペまとめサイトなども追随し日本中で『コーヒー味のモンスターエナジーって何マズそう』と話題になりました。
当時はまだコーヒーフレーバーという分野を知る人は皆無であり不味い炭酸入りコーヒーでコケた商品も日本にあったので話題性に事欠かない状況であったと言えますね。またマニア層ではJAVAシリーズのようにシリーズ化されない商品名であると落胆する人も。ドリン君もそのひとりでした。
味は良かったのですが250mlの缶コーヒーが200円という異常な高値ということもあり、まったく売れなかったのか最後は捨て値でちょっプル処分が祭り状態になったことは忘れもしません。またM3発売から3ヶ月後という短いスパンで発売され勢いを感じたものの1年で終わってしまったのは残念すぎますね。
2015年は海外路線に近づいていく日本のモンスターエナジー
遂にウルトラが発売!
2015年7月21日にゼロゼロの歴史を塗り替えたと行っても過言ではないウルトラが日本でも発売となりました。缶デザインはしっかりとアメリカのものと同じになっていて満足度の高い1本としてリリースされました。味はアメリカとは若干違うのですがそれでもゼロゼロを感じさせない完成度の高いフレーバーであることは間違いないでしょう。日本のほうが少しスッキリした感じですね。満足度で言えば残念ながらアメリカのほうが高いです。
ウルトラの発売を記念して大量ケースをプレゼントするキャンペーンが開催されるなどマニア層だけでなく一般層にも大きな話題になった一本です。このウルトラだけは人気が高いのかちょっプルでもほとんど出てくることがなく、出ても10数分で完売する人気の高さです。
カオスがジュースモンスターデザインへリニューアル
アメリカではカオス、M-80がジュースモンスターシリーズとしてリニューアルされ、缶デザインも一新されました。日本ではどうなるのかなと思っていたところ、2016年5月17日にジュースモンスターのデザインで日本でもリニューアル販売されることが判明。
残念ながらコーヒーモンスターのときと同じでジュースシリーズではなくあくまでカオスという単品を貫く感じだったためやや残念ではありましたが、店頭で際立つデザインになったのは間違いないでしょう。このカオスもウルトラ同様リニューアル記念のプレゼント企画で1ケースが当たるキャンペーンを開催。
日本のモンスターはキャンペーンで大量配布はしますが大勢に配布することがないので勿体無いですね。レッドブルのように数本を大量の人に記念ボックスに入れて配ったほうがSNS効果もあって良いような気もします。
2016年は4月16日にM3のラベルデザイン変更もありましたが、大きな新商品発売はなく、ある意味静かな1年だったと言えるでしょう。
アブゼロも海外仕様に似せた独自デザインへ変更
アメリカでは既に新デザインへ変更されていたアブゼロ。日本では旧デザインのままでしたが2017年4月にデザインをアメリカ仕様に似せた日本独自のデザインへ変更。カオスに続き店頭でさらに目立つデザインとなりました。
2017年、モンスターエナジーロッシ、数量限定発売
2017年6月27日、アジア圏では初となるモンスターエナジーロッシが日本で発売。355mlのサイズとしても世界初となりました。これまで北米では発売されておらず、ヨーロッパ圏限定かと思われていたため日本での発売は衝撃的でした。
しかも数量限定での販売に、多くの人がまとめ買い。しかし実際には2018年になってもずっと店頭に残り続け、さらに賞味期限間近になってネットで約半額にまで値下げされケース売りが始まってしまいます。公式サイトにも情報が掲載されたままで、本当に数量限定なのか疑わしいレベル。
2018年は一気に日本独自路線を強化
2018年は終始日本オリジナルの展開を見せました。新作で日本限定のキューバリブレ、473mlのキャップつきボトル缶の発売など。
日本限定フレーバー、キューバリブレ発売
世界的に人気のジュース系新作を期待していた2018年、急遽日本限定商品となるキューバリブレが発売されました。しかも期間限定・数量限定ではなく定番商品として。
アメリカではキューバリマという同じ系統の商品が2014年に製造終了。現在人気の商品や長く定番化されているフレーバーではなく、アメリカでも長く持たなかったこのフレーバーを定番化するあたりはモンスターエナジージャパンの方向性がよくわかりません・・・。
コーラフレーバーにライム風味を添加していて味は一癖あり、個人的には氷を大量にいれてキンキンに冷やして飲むのがベストかなと思っています。
473mlボトル缶数量限定販売
さらに2018年は473mlの大容量で、しかもキャップつきのボトル缶が発売されました。フレーバーはオリジナルのみですが、アメリカと同じ16ozサイズは大量にモンスターを飲みたい人には嬉しいでしょう。ただし価格が1本320円と高すぎることでなかなか常飲できる雰囲気ではない・・・。
2019年、日本のモンスターエナジーの歴史が変わった瞬間
2019年4月23日、パイプラインパンチ発売
世界で最も人気があると言っても過言ではない、ジュース系モンスターエナジーのパイプラインパンチが日本で発売。これまでアメリカ、カナダで発売されヨーロッパに広がり、オセアニアでも発売されたパイプラインパンチが、遂に日本でも発売となったことで、どんどんグローバル化が進んでいるようにも感じました。
パイプラインパンチは誰が飲んでも美味しく感じるような美味しさのトロピカルフルーツフレーバー。これまでエナジードリンクマニアで企画したハッシュタグ企画の2017年モンスターエナジーの新作希望の際にも最も多かったのがこのパイプラインパンチでした。
一部ではモンスターエナジージャパンもエナジードリンクマニアを見ているとの話も聞きますし、要望のひとつとして取り上げられた可能性もあると考えると喜ばしいことですね。
M3が自販機で缶タイプにリニューアル販売
さらに4月23日に自販機限定でM3が缶になってリニューアル。そもそもアメリカで製造終了したM3がずっと日本で生き残っていること自体が珍しいことなのですが、さらに缶にリニューアル。色々な意味でガラパゴス化した日本のモンスターエナジー商品です。
瓶タイプのほうが好きという人が多いようですが、缶のほうがゴミ捨ても楽だし何より軽くて良いです。そして160mlの極小サイズのモンスターエナジーは日本だけ。素晴らしいと思います。
パイプラインパンチが売れすぎにより早期終売
【終売】モンスターエナジーパイプラインパンチ売れすぎて店頭在庫のみに()
2019年5月22日のニュースで取り上げた通り、発売から1ヶ月で予想以上の売れ行きのため製造が追いつかなくなったパイプラインパンチ。アサヒ飲料に問い合わせたところ出荷を停止し一時的ではありますが終売となりました。
数週間から数ヶ月程度で再販されるだろうと誰もが思っていましたが、結局1年近く再販までに時間を要しました。
2020年、モンスターエナジーが国内エナジードリンクのトップシェアを獲得したことをアピール
2020年3月3日モンスターエナジー・パイプラインパンチ再販
2020年3月3日モンスターエナジー・パイプラインパンチ再販決定(2020年2月4日)
パイプラインパンチ終売から1年近く経過、ようやく再販の速報をお伝えしたとき、Twitterでは想像以上にバズるほど反響がありました。パイプラインパンチによって一気に国内のモンスターエナジーの風向きが変わったような気がします。
2020年6月30日、ウルトラパラダイス発売
パイプラインパンチの爆発的人気のあと何が発売されるかと思ったら何とウルトラシリーズからウルトラパラダイスが発売に。味は日本使用にやや変更された状態で発売されました。
2019年、国内のエナジードリンクトップシェアを獲得
モンスターエナジー、国内No.1エナジードリンクのトッパー登場(2020年8月25日)
突如国内セールスNo.1(2018年12月~2019年11月の売上が国内エナジードリンク市場トップ)のトッパーがついたモンスターエナジーが登場。それまで情報が特に出ているわけでもなかったのでこのニュースが話題になりました。このニュース記事にも書いていますが、やはりパイプラインパンチの登場が大きなトリガーになったと考えられます。
著者:エナジー・ドリン君
2001年頃、在米時にダンスシーンを通じてエナジードリンクに出会い感動。 帰国後日本ではネタ飲料扱いだったエナジードリンクの本当の魅力を伝えるために2013年総合サイトを開設。 エナジードリンクマニアとして改めてエナジードリンクを真剣に飲み始め、各国で狩りをして飲み集めたコレクションは世界7,000種類以上。 メディア取材を受ける評論家や専門家としても活動中。